債券の基本 — 株式との違い・種類・ポートフォリオでの役割
「投資=株式」というイメージが強いかもしれませんが、資産運用には債券という資産もあります。
債券は、株式に比べると値動きが小さくなりやすく、ポートフォリオ全体のリスクを調整する役割があります。
ただし、債券にもリスクはあります。「債券だからリスクがない」と考えるのではなく、仕組みや種類を理解したうえで使うことが大切です。
この記事では、債券とは何か、株式とどう違うのか、どんな場面で活用しやすいのかを整理します。
債券とは何か
債券とは、国や企業などが資金を借りるために発行するものです。投資家から見ると、国や企業にお金を貸し、その見返りとして利息を受け取る仕組みです。
たとえば日本国債は、日本政府が発行する債券です。投資家は国債を購入することで日本政府にお金を貸し、決められた利息を受け取ります。満期である償還日が来ると、発行体が予定通り償還できる限り、額面金額が返ってきます。
株式が「会社の一部を保有すること」なら、債券は「お金を貸して利息を受け取ること」と整理できます。この違いが、株式と債券のリスク・リターンの差につながります。
債券の主な種類
債券にはいくつかの種類があります。個人投資家が知っておきたい代表例は、次の3つです。
国債・個人向け国債
国債は、国が発行する債券です。日本政府が発行する国債のうち、個人が購入しやすいように設計されたものが「個人向け国債」で、変動10年・固定5年・固定3年の3タイプがあります。少額から購入でき、最低金利保証や中途換金のルールがあるため、安全資金の置き場として使いやすい商品です。3タイプの比較や中途換金の条件、最低金利などの詳細は個人向け国債の選び方で整理しています。
ただし、すぐに使う予定のあるお金には向きません。生活防衛資金は普通預金などで確保し、そのうえで当面使う予定のない資金の運用先として考えます。
社債
社債は、企業が資金調達のために発行する債券です。国債より利回りが高いことがありますが、その分、企業の信用リスクを負います。
企業の業績が悪化したり、倒産したりすると、利息や元本を予定通り受け取れない可能性があります。利回りが高い社債ほど、発行体の信用リスクが高い可能性もあります。社債を選ぶときは、利回りだけで判断しないことが大切です。
外国債券
外国債券は、海外の政府や企業が発行する債券です。米国債や先進国の国債、海外企業の社債などがあります。
日本の債券より利回りが高い場合がありますが、外貨建ての場合は為替リスクがあります。たとえば、現地通貨では利益が出ていても、円高が進むと円換算では損失になることがあります。外国債券に投資する場合は、利回りだけでなく、為替変動も含めて考える必要があります。
株式と債券の違い
株式と債券は、どちらも資産運用で使われる代表的な金融商品ですが、仕組みは大きく違います。
| 比較項目 | 株式 | 債券 |
|---|---|---|
| 仕組み | 会社の一部を保有する | 国や企業にお金を貸す |
| 主な収益 | 値上がり益・配当 | 利息・償還差益 |
| 期待リターン | 高くなりやすい | 株式より低くなりやすい |
| 価格変動 | 大きい | 株式より小さくなりやすい |
| 元本保証 | なし | 商品や発行体による |
| 主なリスク | 価格変動・業績悪化 | 金利変動・信用リスク・為替リスク |
長期の資産形成では、株式の方が高いリターンを期待しやすい一方、短期的には大きく下落することがあります。債券は、株式に比べて値動きが小さくなりやすい一方で、リターンも低くなりやすい資産です。
そのため、債券は「大きく増やすための資産」というより、「資産全体の振れ幅を抑えるための資産」と位置づけられます。
ポートフォリオにおける債券の役割
債券の主な役割は、リターンを最大化することではなく、リスクを調整することです。
株式100%のポートフォリオは、長期では高いリターンを期待しやすい一方で、暴落時の下落幅も大きくなります。債券を一定割合で組み合わせると、資産全体の値動きを抑えやすくなります。
たとえば、株式80%・債券20%の配分は、株式100%に比べると期待リターンは下がりやすいです。一方で、株式市場が大きく下落したときの資産全体の下落幅を抑えられる可能性があります。
大切なのは、自分がどれくらいの値動きに耐えられるかです。数字上の期待リターンだけでなく、「暴落時にも売らずに持ち続けられるか」を基準に考える必要があります。
基本的には、長期の資産形成では、低コストの株式インデックスファンドが中心的な選択肢です。全世界株式やS&P500などの株式インデックスファンドを中核にし、債券はリスク許容度に合わせた調整役として考えます。
若い世代が老後資金を長期で積み立てる場合、生活防衛資金を別に確保できていて、値動きに耐えられるなら、無理に債券を組み入れる必要はありません。リスクを下げたい場合も、債券ファンドを買うだけでなく、現金比率を高める方法があります。
個別債券と債券ファンドの違い
債券に投資する方法には、個別の債券を直接買う方法と、債券ファンドを通じて間接的に投資する方法があります。
押さえておきたいのが、債券価格と金利の関係です。一般的に、金利が上がると、すでに発行されている債券の価格は下がりやすくなります。満期まで保有する個別債券は、発行体が予定通り償還できれば満期時に額面金額が返ってきますが、債券ファンドは満期がなく基準価額に日々の債券価格が反映されるため、金利上昇時に値下がりすることがあります。「債券ファンドだから値下がりしない」と思って購入すると驚くことがあるため注意が必要です。
両者の詳しい仕組みと金利との関係は債券ファンドの基本で、個人向け国債の中途換金や最低金利は個人向け国債の選び方で解説しています。安全資金の置き場を考えるなら、債券ファンドよりも普通預金、定期預金、個人向け国債を中心に検討する方法もあります。
日本の金利環境も変わってきている
日本では長く低金利が続いていました。しかし、日本銀行は2024年3月に金融政策の枠組みを見直し、マイナス金利政策を終了しました。その後、日本でも「金利のある世界」が少しずつ意識されるようになっています。
個人向け国債の適用金利も、かつての最低金利保証水準より高くなる場面が出ています。そのため、以前よりも債券を検討しやすくなっています。
ただし、今後の金利動向は分かりません。債券ファンドを保有する場合は、さらなる金利上昇によって基準価額が下がるリスクも考えておきましょう。
どんな人に債券が向いているか
債券が選択肢になりやすいのは、次のような人です。
退職が近い人・退職後の人
退職が近い人や退職後の人は、運用期間が短くなります。株式が大きく下落した場合、回復を待つ時間が限られることがあります。そのため、株式だけでなく、債券や現金を組み合わせて、資産全体の値動きを抑える考え方が現実的です。
リスク許容度が低い人
株式の大きな値動きに心理的に耐えにくい人は、債券を混ぜることで資産全体の振れ幅を小さくできる場合があります。長期投資では、理論上の期待リターンだけでなく、途中で売らずに続けられるかが重要です。不安で売ってしまうくらいなら、最初からリスクを下げた配分にする方が続けやすいです。
近い将来に使う予定のお金がある人
3〜5年以内に使う予定のお金は、株式には向きにくいです。住宅購入、教育費、車の購入など、使う時期がある程度決まっているお金は、預金や個人向け国債など、安全性を重視した置き場が候補になります。
まとめ
債券は、国や企業にお金を貸して利息を受け取る、リスクもリターンも株式より低くなりやすい資産で、その役割はリターンを増やすことよりリスクを調整することにあります。
基本的には、長期の資産形成では、全世界株式やS&P500のインデックスファンドと現金(生活防衛資金)だけでも十分です。そのうえで債券を使うかどうかは、自分のリスク許容度とお金を使う時期に合わせて考えましょう。
※本記事は2026年6月時点の公開情報をもとに作成した一般的な解説です。金利水準、税制、金融商品の条件は今後変動する可能性があります。債券を含む金融商品への投資判断はご自身の責任で行ってください。最新情報は財務省、日本銀行、金融庁、各金融機関の公式サイトで確認してください。
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