テーマ型ファンドは買うべきか — 勝ち筋・負け筋とコア資産の考え方
投資信託を見ていると、定期的に「テーマ型ファンド」が話題になります。
AI、半導体、EV、ロボティクス、クリーンエネルギー、宇宙、メタバース、フィンテックなどです。
名前を見ると、どれも魅力的です。「これから伸びそう」「時代の流れに乗れそう」「普通のインデックスより大きく増えそう」と思わせる力があります。
実際、テーマ型ファンドの中には大きく上がったものもあります。一方で、ブームのときに買った人が、その後長く苦しむことになったものもあります。
この記事では、テーマ型ファンドの勝ち筋と負け筋を整理しながら、実際に買うべきかどうかの考え方をまとめます。
テーマ型ファンドとは何か
テーマ型ファンドとは、特定の分野や流行に着目して投資するファンドです。たとえば以下のようなものがあります。
- AI・生成AI関連、半導体関連
- EV・電気自動車、リチウム電池
- 再生可能エネルギー、水素・脱炭素
- ロボティクス、サイバーセキュリティ
- フィンテック、メタバース、宇宙、バイオ・ゲノム
オルカンやS&P500のように世界や米国全体へ広く分散するのではなく、特定のテーマに絞って投資するのが特徴です。
そのため、当たれば大きいです。ただし、外すとかなり厳しくなります。
盛り上がった後に下がった例(負け筋の典型)
テーマ型ファンドでよくある負け筋は、「テーマが話題になった後に買う」ことです。
たとえばEV・電気自動車、クリーンエネルギー、ARK系のイノベーションファンドなどは、一時期とても大きく盛り上がりました。EVは脱炭素の流れに、クリーンエネルギーは再生可能エネルギーへの注目に乗りました。ARK系のファンドも、破壊的イノベーションをまとめて買える存在として人気を集めました。
しかし、こうしたテーマは、ブームの時点ですでに株価にかなりの期待が織り込まれていることがあります。
その後、金利が上がったり、成長株に逆風が吹いたり、実際の業績が期待ほど伸びなかったりすると、基準価額は大きく下がります。
ここがテーマ型ファンドの怖いところです。
注意したいのは、テーマ自体が間違っていたとは限らないことです。EVもAIもクリーンエネルギーも、社会にとって重要なテーマです。しかし「テーマが正しいこと」と「そのファンドで儲かること」は、別の問題です。
過去には、ITバブル期の「インターネット関連ファンド」、リーマンショック前後の「BRICs(新興国)ファンド」、近年の「ESG/SDGsファンド」などにも、似た流れがありました。
盛り上がった後も伸びた例(成功例の共通点)
一方で、テーマ型ファンドの中には大きく成功したものもあります。
代表的なのは、米国大型テック、FANG+、半導体、AI関連などです。Apple、Microsoft、Amazon、Alphabet、Meta、NVIDIAといった巨大テック企業を中心に組み入れたものは、長期で大きく上昇した時期がありました。
ロボティクスや半導体も、単なる流行語ではなく、AI、自動化、クラウド、データセンター、スマートフォンといった実際の産業成長と結びついていました。
ここが重要です。成功したテーマには共通点があります。
それは、テーマの裏側に「実際に利益を出し続ける企業」がいたことです。夢だけでなく、売上が伸び、利益が伸び、市場で強い立場を持つ企業が入っていたテーマは、強かったわけです。
つまり、テーマ型ファンドで勝つには、「これから流行りそう」では足りません。そのテーマで実際に儲かる企業はどこか、その企業の株価はすでに高すぎないか、そのファンドはちゃんと勝ち企業を組み入れているか。ここまで見る必要があります。
テーマ型ファンドの勝ち筋
勝ち筋は、かなり限られます。
ひとつ目は、ブームになる前に買うことです。まだ多くの人が注目していない段階で将来性のあるテーマに投資できれば、大きなリターンになり得ます。ただし、本当に伸びるテーマか、一時的な流行で終わるのかは、その時点では分かりません。かなり難しい方法です。
ふたつ目は、ブームが終わって下がったところを買うことです。誰も話題にしなくなったころに、まだ業績が伸びているテーマを拾う方法です。理屈としては有効ですが、下落の最中に買うのは怖く、そのまま沈んでいくテーマもあるため、実際には勇気がいります。
みっつ目は、テーマの中に本物の利益成長企業が入っていることです。実際に収益を出している企業が中心なら、長期で報われる可能性があります。逆に、赤字企業や期待先行の企業ばかりのテーマは、環境が悪くなると一気に崩れやすくなります。
テーマ型ファンドの負け筋
負け筋は、もっとはっきりしています。
一番危ないのは、ニュースやSNSで盛り上がってから買うことです。「最近上がっているから」「最近話題だから」という理由で買うと、ちょうど価格が高いところで買ってしまう“高値掴み”になりやすいです。期待が少し外れただけで、大きく下がることもあります。
ふたつ目は、ファンド名だけで買うことです。「AI」と書いてあっても、AIの勝ち組企業に投資しているとは限りません。「EV」と書いてあっても、電気自動車の成長をそのまま取れるとは限りません。テーマ型は名前の印象が強いので、目論見書や月次レポートで上位組入銘柄を確認し、自分のイメージと中身が合っているかを見ることが大切です。
みっつ目は、メイン資産として大きく買いすぎることです。テーマ型は値動きが大きくなりがちで、上がるときは楽しい反面、下がるときはかなりしんどくなります。資産形成の中心に置くには、やや癖が強すぎます。
信託報酬と「繰上償還」のリスク
テーマ型ファンドはアクティブ運用が多く、信託報酬は年率1〜2%程度が一般的です。長期保有では、このコストがリターンを着実に削っていきます。
また、人気のある間は資金が集まりますが、ブームが冷めると解約が増え、純資産が縮小します。純資産が一定の水準を下回ると「繰上償還」され、運用が途中で終わってしまうこともあります。この基準は目論見書に記されています。
テーマ型は、最終的にはゲームに近い
テーマ型ファンドは、投資として面白いものです。次に伸びる産業を予想したり、どの企業が勝つのかを考えたりするのは、かなり知的なゲームです。
ただ、資産形成の本命にするには難易度が高いです。なぜなら、勝つにはいくつもの条件を同時に当てる必要があるからです。
- そのテーマが本当に伸びる
- そのテーマの中でファンドが勝ち企業を持っている
- 買った時点の株価が高すぎない
- ブームの頂点で買わない
- 下落時にも持ち続けられる
- 売るタイミングを間違えない
これを全部当てるのは簡単ではありません。テーマの予想だけでなく、買うタイミングの予想まで必要になります。勝てば大きいですが、再現性は高くないのが正直なところです。
オルカン・S&P500で十分という考え方
では、普通に資産形成をしたい人はどうすればよいのでしょうか。
中心はオルカンやS&P500で十分だと考えられます。
そもそも、あえてテーマ型ファンドを買わなくても、全世界株式(オルカン)を1本持っていれば、話題のテーマの中心にある主要な銘柄はすでに保有していることが多いものです。S&P500なら、米国の主要企業にまとめて投資できます。
どちらも、特定のテーマを当てにいくのではなく、世界経済や米国経済全体の成長に乗る投資です。もちろん下がるときは下がります。ただ、全世界株やS&P500のように広く分散した指数は、過去には大きく下落しても、持ち続けることで時間をかけて回復してきた歴史があります(将来も同じとは限りませんが)。その意味で、特定テーマに集中するよりも安心感があり、ずっとシンプルです。
投資で大切なのは、すごい商品を見つけることより、長く続けられることです。テーマ型は楽しい反面、値動きが大きく流行に左右されやすい。一方でオルカンやS&P500は退屈です。でも、この退屈さが強みでもあります。
買うなら「サテライト枠」で
テーマ型ファンドを完全に否定する必要はありません。投資を楽しむという意味では、少額で持つのはありだと思います。
ただし、あくまでサテライト枠です。資産の大部分はオルカンやS&P500などの広範なインデックスに置き、テーマ型は少しだけにとどめる。これくらいの距離感が現実的です。
当たれば嬉しい。外れても生活や将来設計に大きく響かない。そのくらいの距離感が、ちょうどよいと思います。
半導体ETF・ゴールドETFなど、具体的な銘柄の違いと使い分けは 半導体ETF・ゴールドETFと王道インデックスの違い で扱っています。
テーマ型を選ぶなら確認したいこと
最後に、もしテーマ型を買うなら、次の点を確認しておきましょう。
- ファンド設定日(ブームの後追いになっていないか)
- 上位組入銘柄(自分の理解と整合しているか)
- 信託報酬・実質コスト
- 純資産総額の推移(減り続けていないか)
- ベンチマーク(広範な指数)との比較
- 過去のリターンと最大ドローダウン
特に「設定来のパフォーマンス」は短期間のデータのこともあるので、市場全体と比べて本当に上乗せがあるのかを確認することが大切です。
まとめ
テーマ型ファンドは、夢があります。AI、半導体、EV、ロボティクス、クリーンエネルギーなど、どれも将来性を感じるテーマです。実際に大きく上がったものもあります。
しかし同じように、ブーム時に買って大きく下がったものもあります。勝つには、テーマの将来性だけでなく、買うタイミング、ファンドの中身、企業の利益成長、売るタイミングまで考える必要があり、これはかなり難しいことです。
だからこそ、テーマ型ファンドは資産形成の本命というより、ゲームに近い存在だと思います。楽しむならあり。でも、人生のお金を大きく賭けるものではありません。
普通に資産形成をするなら、オルカンやS&P500を淡々と買うだけで十分です。退屈ですが、退屈な投資ほど長く続けやすく、長く続けられる投資こそ、最終的には強いのだと思います。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、商品の推奨ではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な投資判断は、ご自身の状況に基づいて行ってください。
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