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投資と確定申告 — 特定口座 vs 一般口座、必要なケース

📌 情報の取り扱いについて:本記事は2026年5月時点の公開情報をもとに作成していますが、税制改正や制度変更により内容が古くなることがあります。税制・確定申告手続きの最新情報は、国税庁の公式サイトまたはe-Taxで必ずご確認ください。本記事は税務・投資の助言ではなく、一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士などの専門家にご相談ください。記載に誤りを見つけられた場合はお問い合わせフォームよりご連絡いただけると助かります。

新NISAやiDeCoで投資を始めると、次に気になるのが「税金はどうなるの?確定申告は必要?」という疑問です。

答えは口座の種類と状況によって変わります。特定口座(源泉徴収あり)だけを使っていれば、ほとんどのケースで確定申告は不要です。一方で、複数の証券会社を使っていたり、損失を翌年に繰り越したいときは、申告を行うほうが税負担を減らせます。

この記事では、口座の種類ごとの扱いと、確定申告が必要または有利になる主なケースを整理します。

口座の種類:特定口座・一般口座・NISA口座

証券口座は大きく「特定口座」「一般口座」「NISA口座」に分かれます。

口座の種類税金計算確定申告
特定口座(源泉徴収あり)証券会社が自動計算・自動納税基本的に不要
特定口座(源泉徴収なし)証券会社が年間取引報告書を発行、納税は自分自分で申告が必要
一般口座損益計算も自分で行う自分で申告が必要
NISA口座(新NISA含む)非課税(計算不要)不要(損益通算・繰越控除も不可)

投資初心者にとって最もシンプルなのは特定口座(源泉徴収あり)です。証券会社が税金の計算から納税まで代行してくれるため、投資家側で確定申告を意識する場面がほとんどありません。

特定口座(源泉徴収あり)はなぜ便利か

特定口座(源泉徴収あり)を選ぶと、株式・投資信託の売買益や配当金(株式数比例配分方式を選択した場合)にかかる税金を、証券会社が自動的に計算・源泉徴収して納税してくれます。

税率は2026年5月時点で20.315%(所得税15.315%+住民税5%)。売買益が出た月に自動的に差し引かれるため、投資家は利益の約80%を受け取るイメージです。

年末には「年間取引報告書」が発行されます。確定申告をしない場合は特に使う機会はありませんが、損益通算や繰越控除を行う際の資料として使います。

なお、特定口座は証券会社に口座を開設する時点で選びます。源泉徴収あり/なしの切替は、その年の最初の取引前であれば同年内に変更可能ですが、いったん取引を始めたあとは翌年からの変更になります。

確定申告が必要または有利になる主なケース

① 複数の証券会社の損益を通算したい

同じ証券会社の特定口座内では、年間の利益と損失が自動的に相殺されます。しかし、複数の証券会社にまたがる場合は自動では通算されません

たとえば、楽天証券の特定口座で20万円の利益(税金源泉徴収済み)、SBI証券の特定口座で10万円の損失が出ていた場合、このままでは20万円全額に課税されています。確定申告で申告分離課税として両口座の損益を合算すると、課税対象が差し引き10万円になり、過払い分の税金が還付されます。

2社以上の証券会社を使っている方は、年間取引報告書を揃えて確定申告を検討する価値があります。

② 年間の損失を翌年以降に繰り越したい(繰越控除)

年間の売買損益がマイナスになった場合、確定申告をしておくと、その損失を最大3年間繰り越すことができます。翌年以降に利益が出たとき、繰り越した損失と相殺して課税対象を減らせます。

繰越控除を活用するには、損失が出た年に申告することが必須です。さらに、繰り越した損失を使い切るまで毎年継続して確定申告する必要があります。「損したから申告しなくていい」ではなく、「損したからこそ申告しておく」が正しい判断です。

③ 配当控除を使いたい(課税所得が低い方)

上場株式の配当金の課税方式は、2026年5月時点で3通りから選べます。

課税方式内容向いている方
申告不要(源泉徴収のみ)証券会社が源泉徴収して終わり手間をかけたくない方
申告分離課税損益通算・繰越控除に使える売買損失と通算したい方
総合課税配当控除が使える課税所得が低い方

配当控除は、総合課税を選択した場合に受けられる控除で、国内株式の配当金の一定割合(課税所得により異なりますが、おおむね配当の10%相当)を税額から差し引けます。課税所得が低い方(目安として課税所得695万円以下)には有利になる可能性があります。

一方で、課税所得が高い方が総合課税を選ぶと、配当が給与所得などに合算されて税率が上がる場合があるため、「申告不要」または「申告分離課税」のほうが有利なケースが多いです。

なお、配当控除が使えるのは国内株式(日本法人の配当)のみです。外国株式や外国ETF(米国ETFを含む)の配当には適用できません。

NISA口座の売却益・配当は申告不要

新NISA口座で発生した売却益は非課税のため、確定申告は不要です。

配当金・分配金も原則として非課税ですが、国内上場株式・国内ETF・REITの配当金・分配金を非課税で受け取るには、受取方式を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。銀行口座で受け取る方式や配当金領収証方式などを選んでいると、NISA口座で保有していても課税されてしまいます。証券会社の設定画面で受取方式を必ず確認しておきましょう。

ただし重要な注意点があります。NISA口座で発生した損失は、他の口座(課税口座)の利益と損益通算できません。また、繰越控除も使えません。NISA口座の利益が非課税である代わりに、損失も「なかったこと」として扱われる制度設計になっているためです。

たとえば、新NISA口座で30万円の含み損を抱えたまま売却した場合、特定口座の利益との通算はできません。NISAの非課税メリットは大きいですが、損失が出た場合にこの点が不利に働く可能性があることは覚えておいたほうがよいでしょう。

年間20万円ルールの注意点

給与所得者で、確定申告をしていない方の場合、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)での投資利益が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要とされるケースがあります(給与以外の所得が20万円以下のルール)。

ただし、このルールには注意点があります。

  • 住民税の申告は必要な場合がある(市区町村に確認を)
  • 特定口座(源泉徴収あり)を使っている場合はこのルールの対象外(すでに源泉徴収済み)
  • 損益通算や繰越控除を使いたい場合は金額にかかわらず申告が必要

「20万円以下だから大丈夫」と安易に判断するより、自分の状況で確定申告が有利になるかどうかを確認することをおすすめします。

まとめ

投資と確定申告の関係を整理します。

  • 特定口座(源泉徴収あり)のみ:証券会社が自動納税、基本は申告不要
  • 複数の証券会社を使っている:損益通算のために確定申告が有利になることがある
  • 年間損失が出た:3年間の繰越控除のために確定申告しておく
  • 配当控除を使いたい:課税所得が低い方は総合課税での申告を検討する価値あり
  • NISA口座の損益:非課税なので申告不要。国内株式・ETF・REITの配当は株式数比例配分方式が必要。損益通算・繰越控除は不可

まずは自分がどの口座の種類を使っているかを確認し、複数口座をお持ちの方は年間取引報告書を手元に揃えておきましょう。確定申告は「難しそう」という印象がありますが、損益通算や繰越控除をうまく活用することで、税負担を減らせる場面があります。

※ 本記事の税制情報は2026年5月時点のものです。税制・制度は変更されることがあります。個別の税務判断については、税理士や国税庁の公式サイト(e-Tax)でご確認ください。本記事は税務・投資の助言ではなく、一般的な情報提供を目的としています。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

よくある質問

Q1. 特定口座(源泉徴収あり)だけを使っている場合、確定申告は必要ですか?
基本的に不要です。証券会社が売買益や配当金(株式数比例配分方式を選択した場合)にかかる税金を自動的に計算・源泉徴収して納税してくれます。ただし、複数の証券会社の損益を通算したい場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合、配当控除を使いたい場合は、申告したほうが有利になることがあります。
Q2. 複数の証券会社を使っている場合、損益は自動で通算されますか?
自動では通算されません。同じ証券会社の特定口座内では年間の利益と損失が自動的に相殺されますが、複数の証券会社にまたがる場合は、確定申告で申告分離課税として両口座の損益を合算する必要があります。申告すると、過払い分の税金が還付されることがあります。
Q3. 年間の売買損益がマイナスでも確定申告したほうがよいですか?
繰越控除を使いたい場合は申告しておくことをおすすめします。確定申告をすれば、その損失を最大3年間繰り越して、翌年以降の利益と相殺できます。繰り越した損失を使い切るまで毎年継続して確定申告する必要があるため、「損したから申告しなくていい」ではなく「損したからこそ申告しておく」と考えると分かりやすいです。
Q4. 配当控除はどんな人に有利ですか?
配当控除は総合課税を選択した場合に受けられる控除で、国内株式の配当金の一定割合(おおむね配当の10%相当)を税額から差し引けます。課税所得が低い方(目安として課税所得695万円以下)には有利になる可能性があります。一方、課税所得が高い方が総合課税を選ぶと税率が上がる場合があるため、「申告不要」または「申告分離課税」のほうが有利なケースが多いです。なお、配当控除は国内株式の配当のみが対象で、外国株式や米国ETFの配当には適用できません。
Q5. NISA口座で出た損失は他の利益と相殺できますか?
できません。NISA口座で発生した損失は、他の口座(課税口座)の利益と損益通算できず、繰越控除も使えません。NISA口座の利益が非課税である代わりに、損失も「なかったこと」として扱われる制度設計です。NISA口座の損益はそもそも確定申告の対象外です。
Q6. NISA口座で国内株式の配当を非課税で受け取るには何が必要ですか?
国内上場株式・国内ETF・REITの配当金や分配金を非課税で受け取るには、受取方式を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。銀行口座で受け取る方式や配当金領収証方式などを選んでいると、NISA口座で保有していても課税されてしまうため、証券会社の設定を確認しておきましょう。
Q7. 年間20万円ルールが使えるのはどんな場合ですか?
給与所得者で確定申告をしていない方の場合、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)での投資利益が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要とされるケースがあります(給与以外の所得が20万円以下のルール)。ただし、住民税の申告は別途必要な場合があり、特定口座(源泉徴収あり)はそもそも源泉徴収済みのため対象外です。損益通算や繰越控除を使いたい場合は、金額にかかわらず申告が必要です。

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