SBI証券と楽天証券を両方開設するメリット・デメリット
ネット証券を選ぶとき、「SBI証券と楽天証券、どちらにしよう」と迷う人は多いと思います。
そこで気になるのが、「いっそ両方作ってしまえばいいのでは?」という選択肢です。
結論からいうと、投資をこれから始める人なら、まずはどちらか1社で十分です。
ただし、目的がはっきりしている人にとっては、SBI証券と楽天証券を両方持つメリットもあります。
一方で、ここには見落とされがちな大前提があります。これを知らないと、「両方作ったのに思ったほど意味がなかった」となりやすいです。
この記事では、SBI証券と楽天証券を両方開設するメリットとデメリットを、その大前提から整理します。
なお、2社それぞれの還元率や取扱商品の細かい比較は、楽天証券 vs SBI証券:徹底比較で扱っています。
まず押さえたい大前提:NISAとiDeCoは1人1つ
両方作るかを考える前に、一番大事な前提を確認します。
NISA口座は、1人につき1つの金融機関でしか開設できません。 SBI証券と楽天証券の両方に総合口座を持つことはできますが、NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は、どちらか一方の金融機関で使うことになります。「つみたて投資枠は楽天証券、成長投資枠はSBI証券」というように分けることはできません。
金融機関の変更は年単位で可能です。ただし、その年に変更前の金融機関でNISA口座の買付をしている場合、その年分については金融機関を変更できません。また、すでにNISA口座で買った商品を、別の証券会社のNISA口座へ移すこともできません。
iDeCo(個人型確定拠出年金)も、利用する金融機関は1社だけ選ぶ仕組みです。 SBI証券と楽天証券の両方で、同時にiDeCoを持つことはできません。
つまり「両方作る」といっても、税制優遇の中心であるNISAとiDeCoは、結局どちらか片方に集約することになります。両方持つ意味が出やすいのは、主に特定口座での使い分けです。ここを押さえておくと、判断を誤りにくくなります。
両方開設するメリット
1. システム障害・メンテナンス時のリスク分散になる
ネット証券は、システムメンテナンスや障害で、一時的にログインや取引ができなくなることがあります。口座が1社だけだと、その間は取引や資産確認がしにくくなります。
両方に口座があれば、片方が使えないときに、もう片方で相場や保有資産を確認できる場合があります。頻繁に売買する人や、相場急変時に動きたい人にとっては、この安心感がメリットになります。
ただし、長期積立が中心の人にとっては、そこまで大きなメリットではありません。
2. クレカ積立のポイントを両方で狙える
SBI証券の三井住友カードつみたて投資も、楽天証券の楽天カードクレジット決済も、投信積立のクレジットカード決済は毎月10万円まで設定できます(楽天証券は楽天キャッシュ決済を使えば、さらに月5万円まで積み立てられます)。
両方でクレカ積立をすれば、条件を満たす範囲で、両方のカードのポイント還元を狙えます。
ただし、ここには注意点があります。NISAのつみたて投資枠は年間120万円です。毎月10万円積み立てると、1社のクレカ積立だけでつみたて投資枠を使い切れます。
そのため、もう片方のクレカ積立は、NISAではなく特定口座での投資になります。「ポイントがもらえるからお得」とだけ考えると、特定口座で投資額を増やしていることを見落としがちです。両方のクレカ積立を使うのは、特定口座でも投資する前提の人が、その分のポイントも取りに行く方法と考えると自然です。
また、ポイント還元率は、カードの種類、年間利用額、対象ファンド、証券会社の条件変更などで変わります。最新条件は、必ず各社公式サイトで確認してください。
3. キャンペーンや取扱商品の選択肢が増える
証券会社は、口座開設、入金、投信積立、NISA利用などでキャンペーンを行うことがあります。両方に口座があれば、それぞれのキャンペーンに参加しやすくなります。
また、IPO(新規公開株)の取扱銘柄や、外国株、投資信託、債券などのラインナップは、証券会社ごとに少しずつ違います。片方では買えない商品を、もう片方で買うという使い分けもできます。
ただし、キャンペーンは時期によって変わります。キャンペーン目的だけで口座を増やすと、管理が面倒になることもあります。
4. 使い勝手を比べられる
アプリの見やすさや、注文画面の操作性は好みが分かれます。SBI証券が使いやすい人もいれば、楽天証券の方が見やすいと感じる人もいます。
両方を実際に使ってみると、自分に合う画面や管理方法が見えてきます。最初は両方を試して、使いやすい方をメインにし、もう片方はサブ口座として残す、という使い方もできます。
両方開設するデメリット・注意点
NISA・iDeCoの優遇が片方に集約される点は、冒頭の大前提で触れたとおりです。ここでは、それ以外のデメリットを整理します。
1. 管理の手間が増える
口座が2つになると、ログイン情報の管理、資産状況の確認、取引履歴のチェックなどが増えます。資産が2か所に分かれるため、「全部でいくら持っているか」が一目で分かりにくくなることもあります。
長期でコツコツ積み立てるだけの人にとっては、この手間がデメリットになります。投資初心者ほど、最初は1社にまとめた方が管理に迷いません。
2. ポイントが分散する
投資信託の保有やクレカ積立でたまるポイントは、証券会社ごとに種類や条件が違います。SBI証券ではVポイントなど、楽天証券では楽天ポイントが中心になります。資産を2社に分けると、ポイントも分散します。
ポイントをまとめて使いたい人には、この分散がデメリットになることがあります。また、投信保有ポイントは、すべての投資信託が対象とは限りません。対象ファンドや還元率は変わることがあるため、ポイントだけを理由に選びすぎない方が無難です。
3. 確定申告が必要になる場合がある
特定口座(源泉徴収あり)を使っていれば、基本的に確定申告は不要にできます。ただし、複数の証券会社で売買していて、片方で利益、もう片方で損失が出た場合、損益通算をしたいなら確定申告が必要です。
1社内の特定口座であれば、その口座内で損益が計算されますが、2社にまたがる損益は、自動では通算されません。また、損失を翌年以降に繰り越したい場合も、確定申告が必要になります。
特定口座で売買する人ほど、口座を増やすと税務管理も増える点に注意しましょう。ただし、長期保有が中心で売却しないのであれば、口座が増えても税務管理の手間はほとんど変わりません。
両方持つ人・1社で十分な人
両方持つのが向いている人と、最初は1社で十分な人を対比すると、次のようになります。
| 両方持つのが向いている人 | 1社で十分な人 |
|---|---|
| 特定口座でも投資する予定がある人 | これから投資を始める初心者 |
| 両方のクレカ積立ポイントを取りに行きたい人 | NISAのつみたて投資枠だけを使う人 |
| IPOやキャンペーンに積極的に参加したい人 | 毎月決まった額をインデックス投信で積み立てるだけの人 |
| 商品ラインナップを使い分けたい人 | 口座管理の手間を増やしたくない人 |
| 障害時のリスク分散を重視する人 | ポイント管理をシンプルにしたい人 |
| 両方を試して、使いやすい方を選びたい人 |
すでにNISA枠を使い切っていて、さらに特定口座でも投資する人なら、2社を使い分ける意味はあります。投資経験があり、管理の手間を負担に感じない人にも向いています。
一方、始めたばかりの段階では、1社でNISAを使い、低コストの株式インデックスファンドを積み立てるだけで十分です。まずはシンプルに始める方が続けやすいです。
両方持つときの分け方の一例
両方持つと決めた場合は、役割を分けると管理しやすくなります。たとえば、次のような分け方です。
| 役割 | 使い方 |
|---|---|
| メイン口座 | NISA、iDeCo、主なクレカ積立をまとめる |
| サブ口座 | 特定口座でのクレカ積立 |
NISAとiDeCoはメイン口座に集約します。サブ口座は、あくまで特定口座での用途と割り切ると、管理がぶれにくくなります。
なお、証券口座を2つに分けても、銀行口座まで2つに増やすと管理が面倒になります。毎月の給料からそれぞれに送金する手間も増えます。楽天証券とSBI証券の両方を開いた場合でも、給与振込などのメインの銀行は1つにまとめ、その銀行と各証券口座・クレジットカードを紐づけておくと、入出金がシンプルになります。
どちらをメインにするかは、自分の経済圏、使っているカード、アプリの使いやすさ、買いたい商品で決めれば大丈夫です。楽天ポイントをよく使う人は楽天証券、三井住友カードやVポイントをよく使う人はSBI証券、という選び方でも十分です(どちらの経済圏が自分に合うかはどっちの経済圏が初心者向き?でも整理しています)。
まとめ
SBI証券と楽天証券の両方に総合口座を持つこと自体は問題ありませんが、NISAとiDeCoは1人1つが基本で、両方作っても非課税の優遇が2倍になるわけではありません。
これから投資を始める人は、まず1社でNISAを使うところから始めるのがおすすめです。つみたて投資枠で、低コストの株式インデックスファンドを積み立てるだけでも、長期資産形成の第一歩としては十分です。慣れてきて、「特定口座でも投資する」「キャンペーンやIPOも使いたい」「商品ラインナップを使い分けたい」と感じたら、そのときに2社目を検討すれば十分です。
※本記事の制度内容・各証券会社のサービスは2026年6月時点の公開情報をもとにした一般的な解説です。NISA・iDeCoの制度、クレカ積立の上限や還元率、取扱商品・キャンペーンは変更される可能性があります。口座開設・設定の前には、金融庁、iDeCo公式サイト、各証券会社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。
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