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貯蓄型保険に払うお金を投資に回したら — 30年シミュレーション

📌 情報の取り扱いについて:本記事は2026年時点の公開情報をもとに作成していますが、税制改正や制度変更により内容が古くなることがあります。保険商品・NISA・iDeCo・税制の仕様は、利用前に必ず公式情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や投資判断を推奨するものではありません。記載に誤りを見つけられた場合はお問い合わせフォームよりご連絡いただけると助かります。

「貯蓄型の保険なら、保障もついて、満期にはお金も戻ってくるからお得」

保険の相談で、このような説明を聞いたことがある人は多いと思います。

たしかに貯蓄型保険は、掛け捨て保険と違って、解約時や満期時にお金が戻ってくることがあります。

ただし、「同じ保険料を投資に回していたら、いくらになっていたか」を並べてみると、印象が変わる場合があります。

この記事では、貯蓄型保険に払う保険料と、それを投資に回した場合を30年で比較します。

保険そのものの選び方は 保険見直しの基本 で扱うため、ここでは主に「貯蓄機能」に絞って数字で見ていきます。

貯蓄型保険とは

貯蓄型保険は、保障と貯蓄がセットになった保険の総称です。

代表的なものには、次のような商品があります。

  • 終身保険:一生涯の死亡保障があり、解約返戻金が貯まる
  • 養老保険:一定期間の死亡保障があり、満期時に満期保険金を受け取れる
  • 個人年金保険:老後に年金として受け取る
  • 学資保険:子どもの進学時期に学資金を受け取る

いずれも、「払ったお金が将来戻ってくる」という点がイメージしやすい商品です。

ただし、重要なのは、払い込んだ保険料に対して、どれくらい戻ってくるかです。

この割合を返戻率といいます。

たとえば、保険料を合計720万円払い込み、将来756万円受け取れるなら、返戻率は105%です。

792万円受け取れるなら、返戻率は110%です。

「戻ってくる」だけでなく、「どれくらい増えるのか」「何年資金が拘束されるのか」を確認することが大切です。

30年シミュレーション:月2万円を保険 or 投資に回すと

仮に、毎月2万円を30年間積み立てるケースで考えます。

貯蓄型保険の保険料は、商品、契約年齢、保険金額、払込期間によって大きく変わります。

ここでは、具体的な例として、月2万円を30年間支払うケースで比較します。

払込額・投資元本は次の通りです。

2万円 × 12か月 × 30年 = 720万円

この720万円を、貯蓄型保険に払った場合と、投資に回した場合で比較します。

置き場所30年後の概算元本720万円との差
貯蓄型保険(返戻率105%の例)約756万円+約36万円
貯蓄型保険(返戻率110%の例)約792万円+約72万円
投資(リターン年3%の場合)約1,165万円+約445万円
投資(リターン年5%の場合)約1,665万円+約945万円
投資(リターン年7%の場合)約2,440万円+約1,720万円

※投資は、毎月2万円を月末に積み立て、年率を月割りして複利で運用できたと仮定した概算です。手数料・税金は簡略化しています。運用利回りは仮定であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資には値動きがあり、時期によっては元本を下回ることもあります。保険の返戻率は、商品、契約年齢、払込期間、保障内容によって大きく異なります。ここでの105〜110%は一例です。

ポイントは、貯蓄型保険の返戻率が105〜110%程度であれば、長期の投資と比べたときに差が開きやすいということです。

もちろん、投資の年3%・年5%・年7%は保証された数字ではありません。

相場が悪ければ、想定より大きく下回ることもあります。

一方で、30年という長期で見ると、低コストの株式インデックスファンドに積み立てた場合、貯蓄型保険より大きなリターンを期待しやすい面があります。

なぜ差が生まれるのか

同じ「毎月2万円を積み立てる」でも、貯蓄型保険と投資では中身が違います。

差が生まれる主な理由は次の通りです。

保険には保障コストや手数料が含まれる

貯蓄型保険の保険料は、すべてが積立に回るわけではありません。

保険料の一部は、死亡保障の費用、保険会社の運営コスト、販売コストなどに充てられます。

そのため、同じ金額を払っていても、純粋に運用に回る金額は少なくなります。

保障が付いている分、貯蓄効率は下がりやすいと考えると整理しやすいです。

予定利率ほどには増えない

円建ての貯蓄型保険では、契約時の予定利率をもとに将来の返戻金が決まる商品があります。

ただし、予定利率は、払い込んだ保険料すべてにかかるわけではありません。

保障コストや手数料などを差し引いた後の部分にかかります。

そのため、実際に手にする利回り、つまり返戻率から計算される実質利回りは、予定利率より低くなるのが一般的です。

さらに、低金利の時期に契約した商品では、予定利率自体も低く、長期間資金を預けても大きく増えにくい場合があります。

「昔の貯蓄型保険は良かった」という話があっても、今の契約条件とは異なることがあります。

必ず現在の設計書で確認しましょう。

流動性が低い

貯蓄型保険は、途中解約すると元本割れすることがあります。

特に契約から早い時期に解約すると、払い込んだ保険料よりも解約返戻金が大きく少なくなることがあります。

一方、NISAで投資信託を持っている場合は、値動きのリスクはありますが、売却して現金化しやすい仕組みです。

ただし、売却時点で相場が下落していれば損失が出る可能性があります。

インフレに弱い

将来受け取る金額があらかじめ決まっているタイプの保険は、インフレに弱い面があります。

たとえば、30年後に800万円を受け取れるとしても、物価が上がっていれば、その800万円で買えるものは今より少なくなる可能性があります。

長期の資産形成では、名目上の金額だけでなく、将来の購買力も意識する必要があります。

「保障と貯蓄を分ける」という基本の考え方

家計の整理では、保障は保障、貯蓄・運用は貯蓄・運用で分けて考えると整理しやすくなります。

たとえば、次のような考え方です。

  • 死亡保障が必要なら、掛け捨ての定期保険や収入保障保険で、必要な期間・必要な額だけ確保する
  • 貯蓄や運用は、NISA、預貯金、個人向け国債など、目的に合った手段で行う
  • 老後資金であれば、iDeCoも選択肢になる

こうすると、「保険料は高いのに、保障も貯蓄も中途半端」という状態を避けやすくなります。

たとえば、貯蓄型保険に月2万円払う代わりに、掛け捨ての生命保険で必要な死亡保障だけ確保し、残りをNISAで積み立てる方法があります。

既婚で子どもがいる家庭では、死亡保障は重要です。

ただし、その死亡保障は、必ずしも貯蓄型保険で用意する必要はありません。

子どもが独立するまでの期間だけ、大きめの死亡保障を掛け捨てで持ち、貯蓄・運用は別に行う方が、家計全体では効率的になることがあります。

保険全体の考え方は 保険見直しの基本、必要な保険・いらない保険の見分け方は 保険の種類と入り方 も参考にしてください。

保険の税金にも注意

貯蓄型保険では、満期保険金や解約返戻金を受け取るときに税金が関係することがあります。

保険料を払った人と受取人が同じで、満期保険金や解約返戻金を一時金で受け取る場合、原則として一時所得として扱われます。

一時所得は、次のように計算します。

一時所得 = 受け取った金額 − 払い込んだ保険料 − 特別控除50万円

課税対象になるのは、その一時所得の2分の1です。

そのため、利益が小さい場合は課税されないこともあります。

ただし、契約者、保険料負担者、受取人の関係によっては、所得税ではなく贈与税や相続税が関係する場合もあります。

また、一時払養老保険など一部の商品では、契約期間や解約時期によって金融類似商品として別の課税扱いになる場合があります。

保険の税金は契約形態によって変わるため、契約時や受取時には保険会社の設計書や国税庁の公式情報で確認しましょう。

生命保険料控除はメリットだが、過大評価しない

貯蓄型保険には、生命保険料控除を受けられる場合があります。

これはメリットです。

ただし、生命保険料控除は、払った保険料がそのまま税金から戻る制度ではありません。

所得から一定額を控除し、その結果として所得税や住民税が軽くなる仕組みです。

実際に軽減される税金は、基本的には「控除額 × 税率」で決まります。

しかも、控除額には上限があります。

新制度(2012年以降の契約)では、年間保険料が8万円を超えると、通常は控除額が所得税で4万円、住民税で2.8万円で頭打ちになります。

これは一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の区分ごとの上限です。

たとえば、月2万円、年間24万円の貯蓄型保険に入っていても、保険料は上限を大きく超えています。

通常の新制度の一般生命保険料控除では、控除額は所得税4万円、住民税2.8万円で固定されます。

このとき軽減される税金は、所得税率によって次のようになります。

所得税率所得税の軽減住民税の軽減年間の合計
5%約2,000円約2,800円約4,800円
10%約4,000円約2,800円約6,800円
20%約8,000円約2,800円約10,800円
23%約9,200円約2,800円約12,000円
33%約13,200円約2,800円約16,000円
40%約16,000円約2,800円約18,800円
45%約18,000円約2,800円約20,800円

※所得税の軽減は「控除4万円 × 所得税率」、住民税の軽減は「控除2.8万円 × 約10%」で単純計算しています。復興特別所得税などは簡略化しています。所得税率は課税所得に応じて変わります。

月2万円、年間24万円もの保険料を払っていても、通常の生命保険料控除で軽減される税金は、所得税率によって年4,800〜20,800円程度です。

30年続けても、単純計算ではおおよそ14万〜62万円です。

一方、先ほどのシミュレーションのとおり、貯蓄型保険と投資では30年で数百万円の差がつくこともあります。

生命保険料控除のメリットは、その差を埋めるほど大きくはありません。

なお、2026年・2027年分の所得税については、時限措置として、23歳未満の扶養親族がいる場合、新制度の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に引き上げられます。

ただし、生命保険料控除全体の所得税の上限12万円は変わりません。

住民税の控除上限も基本的には変わりません。

それでも軽減されるのは「控除額 × 税率」の範囲なので、過大評価しないことが大切です。

そのため、生命保険料控除があるからといって、貯蓄型保険が必ず有利になるわけではありません。

節税効果だけで判断するのではなく、返戻率、保障内容、途中解約リスク、投資に回した場合の機会損失を合わせて考えることが大切です。

すでに貯蓄型保険に入っている場合

すでに貯蓄型保険に入っている場合、すぐに解約すればよいとは限りません。

途中解約すると、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回ることがあります。契約時期や契約からの年数によって、今すぐ解約した方がよいか、続けた方がよいかが変わります。

解約返戻金の表や設計書で確認し、よく検討してから解約を判断しましょう。

まとめ

月2万円を30年間積み立てると、元本は720万円です。

貯蓄型保険で返戻率105〜110%なら、30年後の受取額は約756〜792万円です。

一方、同じ金額を投資に回し、年3%で運用できたと仮定すると約1,165万円、年5%なら約1,665万円、年7%なら約2,440万円になります。

もちろん、投資のリターンは保証されません。

相場が悪ければ、想定より少ない結果になることもあります。

それでも、長期の資産形成では、貯蓄型保険よりも、低コストの株式インデックスファンドをNISAで積み立てる方が効率的になりやすいです。

基本は、保障と貯蓄・運用を分けて考えることです。

死亡保障が必要なら、掛け捨ての定期保険や収入保障保険で必要な期間だけ確保する。

貯蓄や運用は、NISA、預貯金、個人向け国債、老後資金ならiDeCoなど、目的に合った手段を選ぶ。

このように分けると、保険料を抑えながら、資産形成の効率を高めやすくなります。

貯蓄型保険を選ぶ場合も、すでに加入している場合も、返戻率、解約返戻金、保障内容、税金、投資に回した場合の機会損失を一度並べて考えてみましょう。

保険全体の見直しは、保険見直しの基本 も参考にしてください。

※本記事は2026年5月時点の制度・公開情報をもとにした一般的な解説です。保険商品の返戻率、予定利率、NISA、iDeCo、税制は変更される可能性があります。投資には元本割れのリスクがあります。最新情報は金融庁、国税庁、iDeCo公式サイト、各保険会社、各金融機関の公式情報で確認してください。

よくある質問

Q. 貯蓄型保険を今すぐ解約した方がいいですか?

一概には言えません。

途中解約は元本割れすることがあり、解約のタイミングによっては損をします。

まずは設計書や解約返戻金の表で、「今解約するといくら戻るか」「払込満了まで続けるとどうなるか」を確認しましょう。

そのうえで、保障の必要性、今後の保険料負担、投資に回した場合の選択肢を比較して判断するのがおすすめです。

Q. シミュレーションの利回りはなぜ仮定なのですか?

投資の将来リターンは誰にも分からないからです。

過去の全世界株式や米国株式の長期実績を参考に、年3%・5%・7%を例として置いていますが、将来も同じ利回りになる保証はありません。

大きく下がる年もあれば、想定を上回る年もあります。

Q. 学資保険も投資に回した方がいいですか?

教育資金は、使う時期がある程度決まっているお金です。

進学直前に値下がりしていると困るため、全額を株式投資に回すのは慎重に考える必要があります。

期間が10年以上ある場合は一部をNISAで運用する選択肢がありますが、使う時期が近づいたら少しずつ現金化することが大切です。

Q. 生命保険料控除があるから貯蓄型保険の方が得ではないですか?

生命保険料控除はメリットですが、控除額には上限があり、節税効果は限定的です。

控除は「税金がそのまま戻る制度」ではなく、所得から一定額を差し引く制度です。

返戻率、保障コスト、途中解約リスク、投資に回した場合の機会損失を含めて判断しましょう。

Q. どの投資商品で運用すればいいですか?

長期・分散・積立を前提にするなら、全世界株式やS&P500などに連動する低コストのインデックスファンドが定番です。

ただし、投資には元本割れのリスクがあります。

短期で使うお金ではなく、10年以上使わない長期資金で行うのが基本です。

詳しくは インデックス投資の基本 も参考にしてください。

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