世界の株価指数リターン比較
主要5指数のリターン比較
まず、日本の個人投資家がよく目にする5つの指数を、直近5年のリターンが高い順にランキングで並べます。配当再投資・現地通貨建て・年率換算の概算値です。
| 指数 | 通貨 | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | NASDAQ100 | USD | 約19.5% | 約18.0% | 約14.5% | 約15.0% |
| 2位 | S&P500 | USD | 約14.5% | 約13.0% | 約10.5% | 約10.5% |
| 3位 | 日経225 | JPY | 約13.0% | 約10.5% | 約8.5% | 約4.5% |
| 4位 | TOPIX | JPY | 約12.5% | 約9.0% | 約6.5% | 約4.0% |
| 5位 | オルカン(MSCI ACWI) | USD | 約12.0% | 約9.5% | 約8.5% | — |
※2024年12月末時点。MSCI ACWIは2000年設定のため30年データなし。概算値であり、データソースにより前後します。
NASDAQ100がトップです。ただしこれはApple、Microsoft、NVIDIA、Amazonなどテクノロジー企業への集中投資であり、2000年のドットコムバブル崩壊では約80%下落しています。リターンが高い分、振れ幅も大きい指数です。
S&P500は20年・30年のどちらで見ても年率約10.5%と安定感があります。直近5年は2023年・2024年が連続で24%超のリターンだったため14.5%に上振れしています。
S&P500 — 30年間ブレない王道
S&P500は、米国の大型株500社で構成される指数です。過去30年の年率リターンは約10.5%。これは「株式投資の長期リターンは年率約10%」という話の元ネタとも言える数字です。
リーマンショック(2008年)で約57%下落し、回復までに約5年半かかりました。それでも30年持ち続けた場合のリターンは年率10%を超えています。暴落を含めても長期では報われてきた、という歴史があります。
NASDAQ100 — テクノロジーの爆発力
NASDAQ100は、ナスダック市場に上場する大型100社で構成されます。テクノロジー企業の比率が高く、2010年代以降のIT成長の恩恵を直接受けた指数です。
30年で年率約15%は全指数中トップ。ただし、2000〜2002年のドットコムバブル崩壊では約80%下落し、最高値回復まで15年かかりました。直近20年のリターンが高いのは、この暴落の底(2004年付近)から計測しているためでもあります。
オルカン(MSCI ACWI) — 世界全体の平均点
MSCI ACWIは、先進国23か国+新興国24か国の約2,500銘柄で構成される指数です。日本では「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の連動先として知られています。
20年で年率約8.5%。S&P500より年率2ポイント程度低くなります。これは中身の約65%が米国株で、残り35%が米国以外(欧州・日本・新興国など)のため、米国単独よりリターンが薄まる構造です。
日経225 — 35年かけて戻った日本株
日経225は、日本の代表的な225銘柄で構成される株価指数です。
1989年12月29日、日経225は38,915円の史上最高値を記録しました。その後バブル崩壊で暴落し、2009年にはリーマンショック後の7,054円まで落ちました。最高値から約82%の下落です。
最高値を更新したのは2024年2月22日。実に35年ぶりでした。
この歴史があるため、30年リターンは約4.5%にとどまります。ただし直近5年は年率約13%と大幅に改善しており、2024年には4万円台に乗せました。「いつから計測するか」でまったく違う数字になる指数です。
TOPIX — 日経225との違い
TOPIXは、東証に上場する約2,000銘柄で構成される時価総額加重型の指数です。日経225は225銘柄の株価単純平均型で、値がさ株(株価が高い銘柄)の影響を受けやすいのに対し、TOPIXは市場全体をより均等に反映します。
リターンは日経225よりやや低く、30年で年率約4.0%。TOPIXは価格ベースでは1989年のバブル最高値(約2,884ポイント)をまだ超えていません。配当再投資を含めたトータルリターンでは回復済みです。
世界の株式市場ウォッチ
ここからは、日本から直接投資する人は少ないけれど、データとして面白い3つの市場を並べます。
| 指数 | 通貨 | 5年 | 10年 | 20年 |
|---|---|---|---|---|
| インド SENSEX | INR | 約15.0% | 約12.5% | 約14.5% |
| 欧州 STOXX600 | EUR | 約7.0% | 約7.0% | 約6.5% |
| 中国 CSI300 | CNY | 約1.5% | 約3.5% | 約9.5% |
※現地通貨建て・配当再投資ベースの概算値。CSI300は2005年設定のため30年データなし。
インドSENSEX — 静かな化け物
インドのBSE SENSEXは、20年年率約14.5%という驚異的なリターンを記録しています。人口14億人超、中間層の拡大、IT・製薬セクターの成長が背景です。
ただし注意点があります。インドルピーは対米ドルで年率3〜4%下落しているため、ドル建てに換算すると約8〜10%。さらに円建てにすると為替次第でさらに変動します。現地通貨の数字だけ見て「S&P500より上」と判断するのは早計です。
中国CSI300 — 世界第2位の経済大国の意外な姿
中国のCSI300は、直近5年のリターンが年率約1.5%。世界第2位の経済大国とは思えない数字です。
2021年から3年連続で下落(-5%、-22%、-11%)しており、不動産セクターの調整、テクノロジー企業への規制強化、地政学リスクが重なった結果です。一方、20年リターンは約9.5%ですが、これは2006〜2007年の異常な急騰(+121%、+162%)を含むため、その期間を除くと印象は大きく変わります。
「GDP成長率が高い国の株式リターンが高いとは限らない」という教科書的な事例です。
欧州STOXX600 — 堅実だが地味
欧州STOXX600は、EU主要17か国の大型・中型・小型株600社で構成されます。5年・10年・20年のいずれも年率6〜7%台で安定していますが、S&P500と比べると見劣りします。
欧州は配当利回りが比較的高く(約3%)、トータルリターンの約半分を配当が占めています。株価の上昇力よりも配当収入で稼ぐ市場、という性格です。
通貨の罠 — 現地通貨リターンの落とし穴
上の表はすべて現地通貨建てです。日本の投資家にとっての実際のリターンは、ここに為替変動が加わります。
| 通貨ペア | 30年間の年率変化 | 影響 |
|---|---|---|
| USD/JPY | 年率+1.3%(円安方向) | 米国株の円建てリターンに上乗せ |
| INR/USD | 年率-3.4%(ルピー安) | SENSEXのドル建てリターンを削る |
| EUR/USD | 年率-1.3%(ユーロ安) | 欧州株のドル建てリターンを削る |
インドSENSEXの現地通貨リターンが年率14.5%でも、ルピー安を差し引くとドル建てで約10%。さらに円建てに換算する際にドル円の動きも影響します。
通貨を揃えないと、リターン比較は意味を成しません。
結局どうすればいいのか
この記事はデータ比較が目的なので、特定の指数の購入をすすめるものではありません。
ただし、ここまでのデータを見たうえでひとつ言えることがあります。
長期の資産形成でインデックス投資を始めるなら、S&P500かオルカン(全世界株式)が現実的な選択肢です。
S&P500は過去のリターン実績でトップクラスの安定感があり、オルカンは1本で世界全体に分散できるシンプルさがあります。どちらも低コストのインデックスファンドが新NISAのつみたて投資枠で購入でき、長期の積立投資に向いています。
NASDAQ100やインドSENSEXのリターンは魅力的に見えますが、値動きの振れ幅が大きく、通貨リスクも加わります。「データを見て面白いと思った」と「自分のお金を長期で預ける」は別の判断です。
※ 過去のリターンは将来のリターンを保証しません。投資判断は、生活防衛資金、収入、家族構成、投資目的、投資期間、リスク許容度を踏まえて、ご自身でご判断ください。本記事は特定銘柄・特定指数・特定金融商品の購入を推奨するものではありません。
よくある質問
- Q1. S&P500とオルカンのリターン差はどのくらいですか?
- 過去20〜30年の年率リターンで比較すると、S&P500が約10〜11%、オルカン(MSCI ACWI)が約8〜9%で、S&P500が年率2ポイント程度上回っています。20年の複利ではこの差が大きな金額差になります。
- Q2. 日経225のリターンが低いのはなぜですか?
- 日経225は1989年末のバブル最高値(38,915円)から長期間低迷し、2024年2月にようやく35年ぶりに最高値を更新しました。30年リターンが約4.5%にとどまるのは、計測起点がバブル崩壊後の水準であるためです。直近5〜10年は大幅に改善しています。
- Q3. インドのSENSEXはなぜリターンが高いのですか?
- インド経済は人口増加と中間層の拡大を背景に高い成長率を維持しており、現地通貨建てで20年年率約14.5%を記録しています。ただし、インドルピーは対米ドルで年率3〜4%下落しているため、ドル建てに換算すると8〜10%程度になります。
- Q4. この記事のリターンはそのまま自分の投資リターンになりますか?
- なりません。記事のリターンは指数ベースの概算値です。実際の投資リターンは、為替変動、信託報酬、売買手数料、税金、購入タイミングによって変わります。日本から海外指数に投資する場合は円建てリターンが適用されるため、為替の影響も受けます。