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企業型確定拠出年金(企業型DC)の運用商品選び — 元本確保型のリスク

📌 情報の取り扱いについて:本記事は2026年6月時点の公開情報をもとに作成していますが、制度改正や金利・料金の改定により内容が古くなることがあります。各種制度や金融商品・サービスの仕様は、利用前に必ず公式情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や投資判断を推奨するものではありません。記載に誤りを見つけられた場合はお問い合わせフォームよりご連絡いただけると助かります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社が掛金を拠出し、加入者本人が運用商品を選ぶ年金制度です。

制度に加入していても、運用商品をよく分からないまま「元本確保型」にしている人は少なくありません。元本確保型は短期的な値下がりが少なく安心感がありますが、原則60歳以降まで使わない老後資金を長期で放置すると、後述するように物価上昇に負ける可能性があります。

この記事では、企業型DCの商品選びの基本と、元本確保型だけで運用するリスクを整理します。

企業型DCとは

企業型DCは、会社が従業員のために掛金を拠出し、そのお金を加入者本人が運用する制度です。基本的な流れは次の通りです。

項目内容
掛金主に会社が拠出する
運用加入者本人が商品を選ぶ
受取額掛金と運用結果で変わる
受取時期原則60歳以降
受取方法一時金・年金・併用など

企業型DCでは、会社が掛金を出してくれます。ただし、そのお金をどの商品で運用するかは、加入者本人が選びます。運用がうまくいけば将来受け取る金額は増えます。一方で、投資信託などを選んだ場合は、元本割れする可能性もあります。

企業型DCの税制メリット

企業型DCには、税制上のメリットがあります。主なポイントは次の通りです。

  • 会社が拠出する掛金は、原則として加入者本人の給与として課税されない
  • 加入者本人が掛金を上乗せする場合、その掛金は所得控除の対象になる
  • 運用益は非課税で再投資される
  • 受け取り時にも控除がある(受け取り方ごとの扱いは後述)

このように、企業型DCは長期の老後資金づくりに使いやすい制度です。ただし、原則として60歳まで引き出せません。生活防衛資金や、近いうちに使うお金ではなく、老後まで使わないお金として考える必要があります。

また、受け取り時には税金がかかる場合があります。「拠出時」「運用中」「受け取り時」の税制をセットで理解しておきましょう。

運用商品は大きく2種類

企業型DCの運用商品は、大きく分けると次の2種類です。

元本確保型

元本確保型は、預金や保険商品など、元本割れしにくい商品です。特徴は次の通りです。

  • 値動きが小さい
  • 短期的な元本割れリスクが小さい
  • 利息や利率は低くなりやすい
  • インフレに弱い
  • 保険商品では、中途解約時に不利になる場合がある

元本確保型は、退職が近い人や、大きな値下がりを避けたい人には使いやすい商品です。一方で、20年、30年と長く運用する老後資金をすべて元本確保型にしておくと、後述するように増やす機会を逃す可能性があります。

なお、元本確保型にも確認しておきたい点はあります。預金保険の対象になるか、保険商品なら中途解約時に不利にならないかなど、商品ごとの条件を確認しておきましょう。

価格変動型

価格変動型は、投資信託など、値動きのある商品です。代表的なものには、次のような投資信託があります。

  • 国内株式
  • 外国株式
  • 国内債券
  • 外国債券
  • REIT
  • バランス型
  • ターゲットイヤー型

価格変動型は、元本割れする可能性があります。その代わり、長期で運用すれば、元本確保型より高いリターンを期待しやすい商品もあります。特に老後まで20年、30年ある人は、低コストの株式インデックスファンドを中心に考えると、長期の複利効果を活かしやすくなります。

元本確保型だけで運用するリスク

「元本割れしない方がよい」と感じて、企業型DCを元本確保型100%にしている人もいます。ただし、元本確保型だけで長期間運用することにもリスクがあります。

インフレで実質的に目減りする

元本確保型は、見た目の金額は減りにくいです。しかし、物価が上がると、同じ金額で買えるものは少なくなります。たとえば、利率が年0.1%で、物価が年2%上がる状態が続くと、お金の実質的な価値は下がっていきます。

企業型DCは、老後に使うお金です。「元本が減らないか」だけでなく、「将来の物価上昇に負けないか」も考える必要があります。

増やす機会と複利効果を逃す

企業型DCは、長期運用に向いた制度です。老後まで時間がある人が、すべてを低金利の元本確保型にしていると、株式インデックスファンドなどで得られたかもしれないリターンを逃す可能性があります。

企業型DCでは運用益が非課税で再投資されるため、長期間運用すると利益がさらに利益を生む複利効果が期待できます。しかし、利回りが非常に低い商品だけで運用していると、その効果は小さくなります。

もちろん、株式型の商品は値下がりすることがあります。しかし、20年、30年という長期で見ると、株式を含む分散投資の方が、老後資金づくりには向きやすい場面が多くあります。老後まで時間がある人にとって、元本確保型(元本保証)の商品だけで運用することは、基本的にはおすすめできません。せっかく長い時間を使える制度なので、価格変動型の商品を中心に検討することが大切です。

商品選びの基本

企業型DCの商品を選ぶときは、次の3つを意識すると整理しやすくなります。

1. 老後までの時間で考える

企業型DCは、原則として60歳以降に受け取る老後資金です。20代、30代、40代であれば、受け取りまで長い時間があります。短期的な値下がりだけを避けるのではなく、長期で資産を育てられるかを考えましょう。

一方で、退職が近い人は、受け取り直前の大きな下落に注意が必要です。年齢や退職までの期間によって、リスクの取り方は変わります。

2. 低コストのインデックスファンドを候補にする

投資信託を選ぶときは、信託報酬などのコストを確認します。同じような指数に連動するインデックスファンドでも、商品ごとにコストは違います。長期では、わずかなコスト差が運用成果に影響します。

企業型DCの商品ラインナップに、低コストの全世界株式、先進国株式、米国株式などのインデックスファンドがあれば、まず候補になります。ただし、勤務先の企業型DCで選べる商品は限られています。自分の会社のラインナップの中で、できるだけ分散されていて、コストの低い商品を探しましょう。

3. リスク許容度に合わせて調整する

若い人は、運用期間が長いため、株式型の商品を中心に持つ考え方があります。一方で、退職が近づくにつれて、現金などの安全資産の比率を高め、値動きを抑える考え方もあります。

ただし、「何歳なら株式何%」と機械的に決める必要はありません。大切なのは、暴落時にも売らずに続けられる配分にすることです。

基本は「株式中心+現金」で考える

企業型DCは原則60歳まで使わない老後資金なので、長期で育てることを前提に、低コストの株式インデックスファンドを中心に考えるのが基本です。

債券型や元本確保型を細かく組み合わせるよりも、企業型DCは株式中心で運用し、いざという時に使うお金(生活防衛資金)は企業型DCの外に現金で確保しておく、と分けて考えるとシンプルです。生活防衛資金が別にあれば、企業型DCが一時的に値下がりしても、慌てて売らずに続けやすくなります。

預金、NISA、退職金、公的年金など、企業型DC以外の資産も含めて、全体のバランスで考えましょう。退職が近く受け取りが目前の場合は、その時点の相場や受け取り方とあわせて、値動きをどこまで取るかを判断してもよいでしょう。

掛金の上乗せ・転職時の移換

企業型DCには、会社の掛金に加えて本人が掛金を上乗せできる仕組み(マッチング拠出・選択制DC)がある場合があります。また、退職・転職時には原則6か月以内の移換手続きが必要で、放置すると国民年金基金連合会に自動移換され、運用されないまま手数料がかかります。

マッチング拠出と選択制DCの仕組み・税制、iDeCoとの併用可否、企業型DCとiDeCoのどちらを優先すべきかは企業型DC vs iDeCoで詳しく整理しています。退職・転職をしたら、まず移換手続きを早めに確認しましょう。

受け取り方も早めに考える

企業型DCの老齢給付金は、原則として60歳以降に受け取れます。ただし、60歳ちょうどから受け取るには、確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上必要です。10年に満たない場合は、期間に応じて受給開始年齢が次のように繰り下がります。

通算加入者等期間受給開始年齢
10年以上60歳
8年以上10年未満61歳
6年以上8年未満62歳
4年以上6年未満63歳
2年以上4年未満64歳
1か月以上2年未満65歳

なお、60歳以降に初めて確定拠出年金に加入した場合は、加入した日から5年が経過した日以降に受け取れます。

受け取り方は、勤務先の規約や金融機関の取り扱いによりますが、主に次の3つです。

受け取り方税制上の扱い
一時金退職所得控除の対象
年金公的年金等控除の対象
併用一時金と年金を組み合わせる

会社の退職金と同じ時期に企業型DCを一時金で受け取る場合、退職所得控除の使い方に注意が必要です。また、公的年金や企業年金が多い人が年金形式で受け取ると、課税対象が増える場合があります。受け取り方は、退職金、公的年金、企業型DC残高、NISAや預金などを含めて考えましょう。

まとめ

企業型DCは、会社が掛金を出してくれる老後資金づくりの制度ですが、運用商品を選ぶのは加入者本人です。安心感のある元本確保型だけに偏らず、年齢やリスク許容度に合わせて価格変動型も検討しましょう。

企業型DCは、一度設定して終わりではありません。年に1回は、運用商品、資産配分、手数料、退職までの期間を確認し、必要に応じて見直しましょう。

※本記事の制度内容は2026年6月時点の情報です。企業型DCの拠出限度額、マッチング拠出、受け取り方、税制、運用商品は変更される可能性があります。最新情報は勤務先の制度案内、運営管理機関、厚生労働省、国民年金基金連合会、国税庁などの公式情報で確認してください。

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