インデックスとアクティブの選び方:コストと過去20年の結果
投資信託を選ぶとき、「インデックス型」と「アクティブ型」のどちらを選ぶかは大きな分かれ道です。
結論から言えば、多くの個人投資家にとっては、低コストで広く分散されたインデックスファンドだけでも、長期の資産形成として十分に有力な選択肢になります。
アクティブファンドにも、指数を上回る可能性はあります。ただし、長期で見ると、アクティブファンドの多くが比較対象となるインデックスを下回ってきたというデータがあります。
さらに大切なのは、下落時に持ち続けやすいかどうかです。
インデックスファンドは、市場全体に広く分散して投資する仕組みです。価格が下がったときも、「長期では世界経済や企業全体の成長に乗る」という保有理由を確認しやすい特徴があります。
一方、アクティブファンドは、ファンドマネージャーの銘柄選定や運用判断に依存します。値下がりしたときに、「このファンドを本当に持ち続けていいのか」と迷いやすく、結果として安いところで売ってしまうこともあります。
そのため、投資に多くの時間をかけられない人ほど、まずは低コストインデックスファンドを中心に考えるのが現実的です。
インデックス型とアクティブ型の違い
インデックス型は、S&P500、TOPIX、MSCI ACWIなどの指数に連動することを目指すファンドです。
指数に沿って運用するため、運用コストが低くなりやすく、信託報酬も低めの商品が多くあります。
アクティブ型は、ファンドマネージャーが独自に銘柄を選び、指数を上回るリターンを目指すファンドです。
調査や売買判断にコストがかかるため、信託報酬はインデックス型より高くなりやすい傾向があります。
つまり、アクティブ型は「高いコストを払ってでも、市場平均を上回る成果を狙う商品」と考えると分かりやすいです。
過去20年のデータが示していること
アクティブファンドとインデックスファンドの比較では、S&P Dow Jones Indicesが公表しているSPIVAというレポートがよく参照されます。
SPIVAでは、アクティブファンドが比較対象となる指数を上回ったか、下回ったかを集計しています。
2025年末時点のSPIVA U.S. Scorecardでは、米国大型株アクティブファンドの20年成績について、92.89%がS&P500を下回ったと報告されています。
つまり、20年という長期で見ると、米国大型株アクティブファンドの9割以上がS&P500に負けていたということです。
これは、アクティブファンドがすべて悪いという意味ではありません。実際に指数を上回ったファンドもあります。
ただし、投資する時点で「これから長く勝ち続けるファンド」を選ぶのは簡単ではありません。
過去の成績が良かったファンドでも、その後も同じように勝ち続けるとは限りません。ファンドマネージャーの交代、運用資産の増加、市場環境の変化によって、成績は変わります。
そのため、長期投資では「勝つアクティブファンドを探す」よりも、「低コストで市場全体に乗る」方が、続けやすい方法になりやすいと考えられます。
コストの差は長期で大きくなる
信託報酬の差は、1年だけ見ると小さく感じます。
しかし、20年、30年と積み立てると、コストの差は運用結果に大きく影響します。
たとえば、毎月10万円を20年間積み立てるとします。元本は合計2,400万円です。
年率5%で運用できたと仮定し(保証されたリターンではありません)、信託報酬を単純に差し引くと、結果は次のようになります。
- 信託報酬0.1%の場合:実質年率4.9%/毎月10万円を20年積立 → 約4,010万円
- 信託報酬1.0%の場合:実質年率4.0%/毎月10万円を20年積立 → 約3,630万円
- 信託報酬2.0%の場合:実質年率3.0%/毎月10万円を20年積立 → 約3,260万円
これは税金や売買コストを単純化した概算です。実際の運用では、毎年一定のリターンが出るわけではなく、価格は上下します。
それでも、同じ元本2,400万円を積み立てても、コストの差によって最終的な金額に数百万円単位の差が出る可能性があることは分かります。
アクティブファンドがインデックスファンドを上回るには、高い信託報酬や売買コストを差し引いた後でも、インデックスを上回る必要があります。
このハードルは低くありません。
下落時に持ち続けやすいのはどちらか
投資では、「下がった時に買って、上がった時に売ること」が理想です。
しかし実際には、価格が下がったときほど不安になり、売ってしまいたくなるものです。
そのため、長期投資では、下落時にも保有理由を確認しやすい商品を選ぶことが大切です。
低コストのインデックスファンドは、保有理由が比較的シンプルです。
- 市場全体に広く分散している
- コストが低い
- 長期で経済成長に乗ることを目指す
- 特定の運用者の判断に依存しにくい
このような特徴があるため、下落時にも「なぜ持っているのか」を確認しやすくなります。
もちろん、インデックスファンドでも元本割れはあります。過去に長期で回復してきた市場があっても、将来も必ず同じように上がる保証はありません。
それでも、広く分散されたインデックスファンドは、長期投資の考え方と相性がよく、途中で迷いにくい仕組みです。
一方、アクティブファンドは、値下がりしたときに判断が難しいです。
- 一時的な不調なのか
- 運用方針が間違っていたのか
- ファンドマネージャーの判断を信じてよいのか
- ベンチマークより悪い状態が続くのか
こうした点を自分で確認し続ける必要があります。
そのため、下がった時に不安になり、値下がり時に売却してしまう可能性が、インデックスファンドより高くなることがあります。
アクティブファンドは、仕組みや運用方針をよく理解し、下落時にも保有理由を説明できる人向けの商品と考えた方がよいでしょう。
アクティブ型を選ぶなら確認したいこと
アクティブファンドを選ぶ場合は、少なくとも次の点を確認したいところです。
- 信託報酬がいくらか
- 購入時手数料があるか
- 実質コストがどの程度か
- ベンチマークは何か
- 過去5年・10年でベンチマークを上回っているか
- ファンドマネージャーが変わっていないか
- 運用方針を理解できるか
- 下落時にも持ち続ける理由を説明できるか
特に大切なのは、「過去のリターン」だけで判断しないことです。
あるファンドが大きく値上がりしていても、市場全体がさらに大きく上がっていたなら、アクティブ運用としては十分な成果とは言えないかもしれません。
また、短期のランキング上位ファンドが、その後も勝ち続けるとは限りません。
- 「最近よく上がっているから」
- 「銀行や証券会社で勧められたから」
- 「ランキングで上位だったから」
という理由だけで選ぶのは注意が必要です。
NISAで考えるならインデックスが使いやすい
NISAで長期投資をする場合も、低コストインデックスファンドは使いやすい選択肢です。
2024年からのNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。
つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円までです。合計で年間360万円まで投資できます。
非課税保有限度額は全体で1,800万円です。このうち、成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。
つみたて投資枠の対象商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などに限られています。そのため、低コストのインデックスファンドが中心になりやすい仕組みです。
成長投資枠では、つみたて投資枠より幅広い商品を購入できます。ただし、信託期間20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、ヘッジ目的等を除くデリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは対象外です。
なお、NISAで商品を売却した場合、翌年以降に売却商品の簿価分だけ非課税保有限度額を再利用できます。ただし、売却した年の年間投資枠が増えるわけではありません。
NISAは利益が非課税になる制度ですが、損失リスクがなくなるわけではありません。NISA口座であっても、値下がりすれば元本割れする可能性があります。
低コストインデックスだけでも十分と考えてよい
投資信託選びで迷った場合、まず確認したいのは次の点です。
- 長期で保有できるか
- 十分に分散されているか
- 信託報酬が低いか
- 仕組みが分かりやすいか
- 下落時にも続けられるか
この条件を満たしやすいのが、低コストのインデックスファンドです。
アクティブファンドには、インデックスを上回る可能性があります。しかし、そのファンドを事前に見つけ、長く保有し続けるのは簡単ではありません。
また、値下がりしたときに「このファンドを信じて持ち続けてよいのか」と迷いやすい点もあります。迷った結果、下落時に売ってしまうと、長期投資の効果を得にくくなります。
一方、低コストインデックスファンドは、市場全体に分散し、低いコストで、分かりやすく投資を続ける方法です。
投資に多くの時間をかけられない人、銘柄選びに自信がない人、NISAで長期的に資産形成したい人にとっては、低コストで広く分散されたインデックスファンドだけでも十分な選択肢になります。
無理にアクティブファンドを探すよりも、低コストインデックスを長く積み立てて、途中でやめないことの方が大切です。
よくある質問
- Q1. インデックス型とアクティブ型、どちらを選べばいい?
- 多くの個人投資家にとっては、低コストで広く分散されたインデックスファンドだけでも、長期の資産形成として十分に有力な選択肢になります。投資に多くの時間をかけられない人、銘柄選びに自信がない人、NISAで長期的に資産形成したい人には、低コストインデックスファンドを中心に考えるのが現実的です。
- Q2. SPIVAデータで20年のアクティブファンドの成績はどう?
- S&P Dow Jones IndicesのSPIVA U.S. Scorecard(2025年末時点)では、米国大型株アクティブファンドの20年成績について、92.89%がS&P500を下回ったと報告されています。20年という長期で見ると、9割以上のアクティブファンドが指数に負けていたということです。なお、これはアクティブファンドがすべて悪いという意味ではなく、事前に勝ち続けるファンドを選ぶのが難しいということを示しています。
- Q3. 信託報酬の差は本当にそんなに影響する?
- 1年だけ見ると小さいですが、20年、30年と積み立てると大きく影響します。たとえば毎月10万円を20年積み立てた場合、年率5%想定で信託報酬0.1%なら約4,010万円、1.0%なら約3,630万円、2.0%なら約3,260万円と、コスト差で数百万円単位の差が出る可能性があります。これは概算で、実際のリターンは保証されません。
- Q4. なぜインデックスは下落時に持ち続けやすい?
- 保有理由が比較的シンプルだからです。「市場全体に広く分散している/コストが低い/長期で経済成長に乗ることを目指す/特定運用者の判断に依存しにくい」という性質があるため、下落時にも「なぜ持っているのか」を確認しやすくなります。アクティブファンドは「一時的な不調か」「運用方針が間違いか」など複数の判断が必要で、迷いやすい傾向があります。
- Q5. アクティブファンドを選ぶ場合、何を確認すべき?
- 信託報酬・購入時手数料・実質コスト・ベンチマーク・過去5年/10年でベンチマークを上回っているか・ファンドマネージャーの継続性・運用方針が理解できるか・下落時の保有理由を説明できるか、を確認したいところです。特に「過去のリターン」だけで判断しないこと、短期上位ファンドがその後も勝ち続けるとは限らないことに注意が必要です。
- Q6. 新NISAの成長投資枠でもアクティブファンドを買える?
- 成長投資枠は、つみたて投資枠より幅広い商品を選べますが、信託期間20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、ヘッジ目的等を除くデリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは対象外です。条件を満たすアクティブファンドは購入可能ですが、本記事で示したコスト差や保有のしやすさを踏まえると、長期保有では低コストインデックスファンドを中心に考えるほうが現実的です。
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参考情報源
- SPIVA U.S. Scorecard(S&P Dow Jones Indices) — 米国大型株アクティブファンドのインデックス対比成績の最新データ
- 新しいNISA — 金融庁 — つみたて投資枠・成長投資枠・非課税保有限度額の公式説明
投資にはリスクがあり、元本保証ではありません。過去の実績やシミュレーションは、将来の成果を保証するものではありません。
本記事は、インデックス型とアクティブ型の違いを整理するための一般的な情報です。特定の商品や金融機関を推奨するものではありません。実際に投資する際は、ご自身の収入、家計、投資期間、リスク許容度を踏まえて判断してください。
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最終更新:2026-05-23/本記事は2026年5月時点の情報です。SPIVAの数値・NISA制度・税制等は改定・更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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